遺言執行者の任務

遺言執行者は次のような任務を行わなければなりません。

1.相続財産を調査して目録を作成し、相続人に通知する。

2.相続財産の管理(債権の回収、賃貸不動産の賃料の取立て等)

3.その他遺言の執行に必要な一切の行為

ただし、特定の財産についてだけ遺言されている場合は、遺言執行者の仕事は、その財産だけに限定されます。

遺言の内容が相続財産の処分ではなく、子供の認知であったり相続人の廃除である場合は、その手続きのみを行うことになります。

相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げることとなる行為をすることはできません。相続人がこれに反して行った財産処分は無効となります。

遺言執行者の報酬は遺言に書かれていればそれに従います。何も触れていなければ家庭裁判所に適正な額を決めてもらうことができます。

執行費用や報酬は相続財産の中から支払うとされています。

法改正による遺言執行者の権限

2019年(令和元年)7月1日施行の相続法の改正により、遺言執行者の権限が次のように変わりました。

1.権限の保持

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。(改正民法第1012条第1項)

改正後は、”遺言の内容を実現するため”の強い権限を保持させました。

2.立場の変更と権限の強化

遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。(改正民法第1015条)

改正後は「遺言執行者は相続人の代理人である」という記述が消えて、遺言執行者の強い権限を認めました。

3.遺言執行者の任務開始の通知義務

遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。(改正民法第1007条第2項)

改正後は、遺言執行を開始したらすぐに相続人に通知することが義務化されました。