遺言を書くメリットとは何でしょうか?これについて説明してみたいと思います。

☑遺言は法定相続に優先する

法定相続とは、民法で定められた相続のことです。誰が相続するかや相続の序列、また各相続人の相続分(法定相続分)などは民法で決められています。

しかし、遺言があれば、遺言はこの法定相続に優先するのです。そのこともまた民法で定められているのです。つまり、遺言どおりに相続させることができるのです。この遺言による相続を「遺言相続」といいます。

例えば、自分の介護を献身的にしてくれた息子の嫁に財産を分けてあげたいと思っても、法定相続だと息子の嫁には相続権はありません。しかし、遺言で息子の嫁に財産を分け与えることを書いておけば、それが実現できます。

つまり、遺言によって死後でも自分の意思を反映させることができるのです。これが遺言の大きなメリットのひとつです。

☑遺言はトラブルを防ぐ役目をする

遺言がないときは、相続人同志が話し合って相続分などを決めます。この遺産分割協議で相続人全員の意見が一致すれば、そのとおりに遺産を分けることができます。法定相続分どおりに分ける必要はありません。

しかし実際には、相続人の意見が対立したり、感情のもつれによって話し合いがまとまらないことがでてきます。そうなると家庭裁判所の調停や審判で決着をつけなければならないようになってきますし、最悪の場合には、裁判にまで発展することがあります。

一方、法定相続に優先する遺言で自分の意思をはっきり書きのこしておけば、相続人の間で無用の争いをする確率は低くなります。例え、相続人の全員が遺言の内容に納得しなくてもです。

このように遺言にはトラブル防止策になるという大きなメリットがあります。ですので相続人等が争わないような遺言をのこすことは故人の責任といえなくもありません。