遺産分割の協議(話し合い)を相続人間でする際に、相続人の代理をたてなければならない場合があります。どういう場合かというと、相続人が20歳未満の未成年者であったり、認知症である場合などです。

これらの人は、法律上で、財産の権利を目的とする法律行為(この場合は遺産という財産の分割)を行うことができないからです。そこで代理人をたてることになるわけですが、未成年者と認知症の人では代理人になれる人が違います。

まず、未成年者の場合ですが、通常は子の法定代理人は親権者である父母ですので、親がなります。しかし、相続では、親権者も相続人である場合には、未成年者と親権者の利害が対立するとみられて代理人にはなれません。

そこで、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立てて、その人に遺産分割協議に参加してもらうことになります。また、未成年者が複数いる場合は、それぞれ一人ひとりに別の特別代理人を選任することになります。

一方、認知症の人の場合は、家庭裁判所に「成年後見人」の選任を申し立てて、その人が遺産分割協議に参加することになります。

ただし、この成年後見の開始の手続きは時間がかかるため(通常は1か月以上はかかります。)、早めに家庭裁判所に申し立てることが必要です。