遺留分の減殺は当たり前のことですが、その限度で行います。

遺言で侵害された遺留分が50万円なら減殺請求できるのは50万円です。すでに受遺者に遺贈されている場合には50万円の返還を求めることになります。遺贈されていなければ、遺贈の全体額から遺留分の額を差し引いた残りの分を相手に渡せばいいということです。

ただし遺留分の減殺は遺留分権利者が勝手にできるわけではありません。減殺の方法が次のように民法で定められています。

  • 遺贈と贈与があるときは、遺贈を先に減殺する。それでも足りない時は贈与を減殺する。
  • 遺贈が2つ以上あるときは価額の割合に応じて減殺する。
  • 贈与が2つ以上あるときは、贈与の契約時を基準にして、後の贈与から順次前の贈与に対して行っていく

なお、減殺請求をしたときに、受贈者や受遺者が第三者に譲渡してしまっている場合などは、原則として第三者に減殺請求はできません。その場合は、受贈者や受遺者は遺留分権利者にその価額を弁償することになります。