遺留分は放棄することができます。遺留分の放棄は、相続が開始する前と後では方法が大きく違います。

✅相続開始前の放棄

被相続人(遺言者)が生前に、推定相続人(遺留分権利者)に遺留分の放棄をさせる場合は、推定相続人が家庭裁判所に「遺留分放棄」を申し立てることが必要です。

申し立てると、家庭裁判所が放棄者本人の真意や放棄の理由などを調査し、遺留分の放棄を許可すれば、法律上効力が生じます。

✅相続開始後の放棄

相続が開始して遺言が有効となった場合でも、遺留分は必ず行使しなければならないものではありません。遺留分権利者が被相続人の意思を尊重して、遺留分を主張しなければよいだけです。具体的には、遺留分の減殺請求をしなければいいことです。その場合は、遺留分を放棄したことになります。

なお、遺留分権利者が複数いる場合、権利者の一人が放棄しても、他の権利者の遺留分がその分増えることはありません。全体の遺留分は放棄された分だけ減少することになります。

また、遺留分の放棄は相続放棄とは違うので、相続財産があれば、当然相続することができますので注意が必要です。