遺言制度の改正点

1.自筆証書遺言の方式緩和(新民法968条)

  自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成できるようにした。

2.遺言執行者の権限の明確化(新民法1007条、1012条~1016条)

3.公的機関(法務局)における自筆証書遺言の保管制度の創設(遺言書保管法)

 

まず1ですが、自筆証書遺言は、原則すべて自分の手で書かなければなりませんが、このうち財産目録については、自筆でなくてもよくなりました。

例えば、パソコンで作成して印刷し、それを遺言書に添付することも可能となったのです。

確かに、財産目録をすべて自分の手で書こうと思ったら、かなり手間がかかります。財産が多ければ尚更ですし、書き直すとなると大変です。特に、高齢の方には難しいでしょう。

自筆でなくても良いということは、誰かにパソコン等で作成してもらえばいいし、代書してもらっても構わないということです。

これはたしかに高齢者等に配慮した改正だといえますね。そして、より遺言書を作成しやすくなったといえるのではないでしょうか?

(2は省略します。)

次に3ですが、これは特に注目すべきです。

これまで自分の手で書いた自筆証書遺言は、保管も自分でしなければなりませんでした。

それ以上に厄介だったのは、遺族がその遺言を実際に執行しようとしたときに、まず家庭裁判所にその遺言を持ち込んで「検認」という手続きを踏まなければなりませんでした。

検認とは、簡単に言えば、家庭裁判所で本人の遺言書であるかどうかを確認してもらう手続きのことをいいます。

自筆証書遺言の場合、その遺言書の保管者や発見者は、遺言書があることを、まず家庭裁判所に申し立てしなければなりません。その際には、遺言書を開けずに届出なければなりません。勝手に開封すると、5万円以下の過料の処分を受けます。

ただし、開封したからといって遺言書の効力には影響しません。

検認は、その遺言書が、法律に定められた方式に従って書かれているかどうかや、その状態を確認し、かつその遺言書が、後日、偽造されたり、変造されたりするのを防ぎ、保存を確実にするために行われるのです。

そのために検認後は、検認調書が作成され、その検認調書を元に遺言が執行されるのです。ですので、この検認調書が無い限り、遺言書に書かれてあることは実行できないのです。

ところが、今回の改正では、自筆証書遺言を法務局に保管してもらっておけば、面倒な検認という手続きをふまなくてもいいようになったのです。

これは大変便利な改正です。

これまで、この検認という手続きを面倒がって、自筆証書遺言をためらっていた人も、これからは書きやすくなるのではないでしょうか?

なお、この遺言書保管が実際に施行されるのは、令和2年7月10日からとなっていますので、まだ少し先の話となります。