前回、法定相続情報制度ができた背景には、相続登記が放置されたままになっていて、数々の社会問題を引き起こしているためであるとお話ししました。

土地や建物の所有者が亡くなり、管理する者もいないため土地や建物が荒れ放題になって、治安が悪くなり、環境問題が生じても、相続登記がなされていないと所有者が誰であるかわからないので話もできず問題が解決できない。

また、その土地を利用して公共施設を建てたり道路を建設しようとしても、相続登記がされていないため地権者と話ができず、開発計画もとん挫してしまう。

倒壊のおそれのある建物は防災上危険であるが、所有者が不明だと話ができず、防災対策もおざなりになってしまう。また、実際災害が起きて復旧しようとしても所有者が誰であるかわからないため、その後の防災対策ができない。

以上はほんの一例ですが、相続登記がなされず所有者が不明もしくは権利者が確定していないと、あらゆる場面でさまざまな問題が生じます。

こうした現状を受け、政府が相続登記を促進させるための制度を検討することとなり、結果として本制度が創設されたというわけです。

たしかに所有者が亡くなっても、相続登記がなされずに放置されているケースは多いと思われます。相続登記をするためには戸籍を集める手間や登録免許税などのお金もかかりますし、司法書士に依頼すれば報酬もかかります。またそれ以前に、相続人で遺産分割協議を行わなければいけません。

むしろ相続登記が進まないのは、手間やお金がかかることよりも、むしろ遺産分割の話し合いができなかったり、つかないことに原因があるのではないかと思います。

また、相続登記をいつまでにしなければならないという期限がないことも原因のひとつと思われます。

相続というのはトラブルになる可能性を孕んでいますし、相続人が複数いれば自分ひとりの考えで決めることもできません。しかし、時間が経って数次相続となればより相続の手続きが難しくなりますし、お金もかかります。

相続というのは、本来、子孫のためになされるべきものです。その原点に立ち還れば、自分の損得よりも次世代のことを考えて手続きを早めに行うべきではないでしょうか?

あくまで理想論かもしれませんが。